毎月、支払い日の資金が不足しないのではないか、会社経営で経営者が最も神経をすり減らす心配事です。
売上の伸びは順調ではあるが、販売代金の入金サイトが長い、お客様の要望に応えるため、在庫が積み上げているというように、資金繰りを苦しくする悪材料は尽きません。
■資金繰りの組み立て方
会社経営における資金繰りの苦労は、経営者にとって避けては通れないことなのですが、資金繰りが経営者を苦しめる原因が理解できれば、少しは楽になるはずです。
結論から言うと、資金繰りは入金を経営者が読まない(読めないではない)ことで、自ら不安になっているということに尽きます。
毎月の給与や家賃、金融機関への借入金元本と利息の支払い、また、給与以外の人権費、リース代など、経営者の裁量で支払いをコントロールできない継続的な出金があります。これらは毎月確実に発生し出金するものばかりで、毎月、毎年どの程度出金されるかは、かなり前から読めます。
そこで、経営者がコントロールしづらい出金の財源が、不確実な入金しかなければ、経営者の真剣はすり減ります。
つまり、それでなくても入金は不確実なのですから、経営者がコントロールできない継続的な出金に対し、どれだけの比較的確実性の高い入金が確保されているかを、定期的に作成される資金繰り表で明らかにすることをお薦めします。
一般的な資金繰り表は、経常収支という括りで表現される部分ですが、経営者の感覚からすれば、確実に出ていくお金がどれだけ確実な金で確保されているかを知ることが重要なのです。
■選択的な資金収支
売上代金の回収は、相手があることであり、自分たちだけでコントロールすることは難しいのですが、出金についてはコントロールの難しいものであったとしても、経営者が決断すれば全て止めることができます。
もちろん、出金を止めるのには優先順位が有ります。社員の給料や借入金の利息、税金の支払いというような、出金を止めることによる影響が大きなものについては後回しになります。
つまり、資金繰り表中の出金項目の分け方として、経営者が選択的に止める決断ができるものと難しいものを分けると、直感的に資金繰り表の構造が経営者にも理解できるようになり、経営者の決断がしやすくなります。
毎月会社から出ていくお金、そもそも無い袖は振れないわけですから、入金を増やそうとする前に、出て行くものの優先順位を経営者自らが理解し、説明のつくやり方と適切なタイミングで出金を止める決断するべきなのです。
その習慣がつけば、年度末や今後1年間に向けて、不足する確実な入金を確保するか、そしてその入金を確保するためには、今、何をするべきなのかを考え続けることです。それが経営者の役割です。